それいけ!アンパンマン きらめけ!アイスの国のバニラ姫

お題「最近見た映画」

 

子供とはじめてアンパンマンの映画を見てきました。幼児がはしゃいで大きな声を出したり踊ったりしても大丈夫という実に安心仕様の映画です。映画館の大きなスクリーンですが、劇場仕様の美麗でコマ割りの多い凄いアニメでもなければ、背後から音が聞こえてくるようなサウンドシステムでもありません。まんまTVアニメのアンパンマン。確かに凄い3Dだったり、大迫力の音量だったりしたら子供泣くもんね。

 

そんなガチ子供仕様の映画ですが、なかなか内容は渋いものでした。やなせたかし先生生誕100周年記とのことですが「なんのためうまれて なんのためしぬのか」なんて歌詞をOPからぶち込んでくる彼の精神は生きているのだなとしみじみします。

 

今回は生き死にを問う内容ではなく、労働の意味を問う内容。

おそらくは世襲?(そこも謎と言えば謎)で姫になったバニラ姫が”アイスを作る”というアイスの国根本の仕事(魔法)がどうしてもこなせず、いやになって職場から逃亡するという話です。職場、というか国全体で、自分ともう一人、一応は部下だけどやたら偉そうに説教してくるおっさんの二人しかいない。そりゃ逃げたくもなるわ。

 

逃亡先で出会ったアンパンマンにバニラ姫は問います。己を顧みず、無休&無給で仕事(世界中を飛び回り、困った人を助けること)を続けているのはなんの為かと。その答えを聞きまた、義務感で雁字搦めになっているバニラ姫と正反対なベクトルで生きているコキンちゃんにも出会って、彼女は自分なりの答えを見つける、、、という筋書きでした。

 

ワーカホリック過ぎるアンパンマンの異常性をちゃんと描写しているのは凄い(大人目線)。アンパンマン、全く休みません。どうかしているし、皆の笑顔が見たい的なアンパンマンの回答自体も個人的にはあんまり興味がない。しかし、バニラ姫がさんざん悩んで追い詰められて、最後に自分なりの回答を見いだし、結果も出す過程にはもう泣けました。幼児の横で40過ぎたおっさんが涙ぐんでいました。事を成すには己の中から湧き出てくる意志の力がなければならないというメッセージと受け取りました。その仕事が世の為になっているか、なっていないか。その為に努力したか否か。そんな事よりまず第一に、自らがそれを望んでいるか。魔法が魔法たり得るのはその1点なのだと。熱い。

 

勿論バニラ姫が悩んだ結果、ドキンコキン姉妹みたくバリバリの享楽主義者になる、という道もあったはず。あんなブラック過ぎる環境で働く理由は全くない。逃げ切ればいい。コキンちゃんという友人の存在で、たまに息抜きしつつ仕事を続ける事が出来るという優しい世界になっているが現実がそうとは限らないしなあ。